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日本を飛び出してアジアをメインにYouTuberのマネジメントをしているカプセルグループのCEO 埴渕さんに話を聞いてみた

リーホー!櫛井です!
ここ数年、YouTuberをはじめとしたインフルエンサーの存在がインターネットを起点にマスメディアにも波及しており大変盛り上がっていますね。そんなインフルエンサーのマネジメントをしているカプセルグループさんにお邪魔する機会があったのでCEOに話を聞いてみた!というのがこの記事です。
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こちらがカプセルグループCEOの埴渕(はにぶち)さん、35歳とお若い!

日本ではヒカキンさんをはじめとした有名YouTuberマネジメントをしている会社としてUUUMさんが有名ですが、そのUUUMと資本業務提携を結びアジアを中心にインフルエンサーマーケティングを手がけているのがカプセルグループです。一体どんな思いで創業されたのか、三原JAPANの三原さんとの出会い、YouTuberとして大事な素養とは何か、などなどこれからの展望も含めて話を聞いてみました。

オフィスの記事はこちら

※今回の台湾シリーズはご招待いただいたのでPresented by カプセルグループさんで提供しております

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櫛井:あらためて、埴渕さん宜しくおねがいします!今回はご招待いただいてありがとうございます、とても素敵なオフィスですね。私のブログでやっている行ってきたシリーズは160記事を超えているのでわりと色々なオフィスを見ている方だと思いますが、事業と働く場所としての思想がマッチしていて働きやすいなと思いました。

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埴渕:台湾までお越しいただいてありがとうございます!オフィスはかなりこだわっているのでそう言っていただけると嬉しいです。「Forever Under Construction」いつまでも完成しないというのがコンセプトで、自分たちが成長し続けるのと一緒にオフィスも変わっていけたらと思ってます。

 

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櫛井:いいコンセプトですね。私も綺麗で完成されているよりも実際に使われて設計者の意図とは違う使い方が定着しているオフィスが好みです。オフィスを見ていて色々気になったのですが、今日はカプセルグループについて色々と聞かせてください。
現在35歳で日本だけではなく台湾や香港などアジアを中心に事業を展開されていらっしゃいますが、話の順番的にまず創業に至ったきっかけなど教えてもらえますか?

カプセルグループ創業のきっかけ、社名の由来


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埴渕:きっかけでいうと、私は日本の大学に行っていたんですが2年間休学してロンドンと上海に留学してたんですね。ロンドンの時はルームメイトがイラク人だったんですけど、当時はイラクアメリカが戦争をしていて毎日その人が泣いてて「私どこで自爆テロしたら一番インパクトあるか」みたいな話をされて「いやいや、やめようよ」って言ってたんですね。その時に僕ってあんまり人のためになれることないなと強く感じて、いつか自分や自分が作った会社で世界平和にインパクトあることが出来たらなっていうのが事業をやりたいと思った最初のきっかけです。

休学期間中にいろんな国に行って、その中でも「ここで働くと一番早く学べそうだな」と感じたのは上海でした。リクナビで「勤務地 上海」ってキーワードをいれたらアドウェイズという会社が出てきたのでそこで働いたのが社会人の入り口です。20代はどこかの会社でいっぱい勉強しようという気持ちがあっていっぱい働いて、29歳になったときに「そろそろ30になるんで辞めます」と伝えて今の会社を作ったという流れです。
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櫛井:29歳で起業する時、最終的にやりたいことが世界平和というのはあっても、どのようにとか何をしてそこにたどり着くのかというのはイメージあったんですか?

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埴渕:いえいえ、そのタイミングでいうと本当にざっくりしていて、なにかの事業でそうなったらいいなと思ってるくらいでした。ただ、起業して2年くらい経ってから「その思いって僕のエゴでしかないな」と思って、それを自分以外の社員に押し付けるのも違うかなと思って言わないようになりました。

ただ、その思い自体はカプセルグループが掲げている「次世代のしたい、なりたい、をサポートする」という今のミッションに繋がっているところもあったりするんですけど。世界平和を会社に求めるのではなくて、僕も会社の一員なので会社を利用しながら個人の思いとして実現できたらと今は思っています。

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櫛井:気になっていたんですが、社名の由来って教えてもらえますか?カプセル・会社という流れでいうと、もしかしてドラゴンb…

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埴渕:ハハ、気になりますよね(笑) はい、由来はドラゴンボールカプセルコーポレーションからです。実は社名を考えるよりも事業を始めることのほうが優先順位が高かったので、社名は何でもよかったんですけどパッと思いついたのがこれで。社名考えるのに1週間使うよりも10分で決めちゃおうみたいな。
とはいえ、意図は一応ありまして。ホイポイカプセルのようなイノベーションを起こしたプロダクトを作りたいとか、カプセルって丸いから地球規模の事業をやりたいというのはあります。


急成長の背景と、YouTuberのマネージャーという新しい仕事


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櫛井:カプセルグループさんは社員数が30人くらいだったのがこの1年半くらいで100人くらいにドギャーンと増えたと聞いてます。いま伸びてるところなんですか?

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埴渕:そうですね、業界というかYouTuberやクリエイターが伸びているので会社としてはそれよりも早く成長しないと彼らのサポートをしっかり出来ないというのがあります。それと、YouTuberのマネージャーという職種が新しい職種なので、芸能人のマネージャーを連れてきてもちょっと違ったりとかあるので育てるしかないなと思っているので採用を強化しているというのもあります。
新しい社員とかインターンをいっぱい採用して、適正のある人達を伸ばしていくのをやっているところです。新しい職種なので外から見るとどんな仕事なのかイメージついてないというのはありそうですが。

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カプセルグループの皆さん

インフルエンサーマーケティングを始めたきっかけとアジア圏でのビジネス


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櫛井:クリエイターのマネジメントをするというビジネスを今やってらっしゃると思うんですけど、最初からそれをやろうと思っていたんですか?それとも最初は違う業態を目指していて結果的に今の形になったんですか?

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埴渕:はじめでいうと全然違うことやってました。インパクトのあるビジネスをやって戦争を止められるくらいの事業規模のメディアを作りたかったんですね。FacebookとかTwitterとかを作りたいなっていうのがあって、メディアを作ってました。ただ、やってみても全部ダメで、そのメディアを作っていた時の最後にゲームの攻略サイトを台湾でやってたんですね。その時にメディアのプロモーションでYouTuberを使いだして「YouTuberってすげーな」とわかりだして、彼らと仲良くなって色々と話していると課題が色々あることに気づいたんですね。
企業との取り組み方がわからないとか、ファンがいっぱいネット上にいそうなのはわかるけど会ったことないから会ってみたいとか、そういう話を聞いて「この人達困ってるから何かしてあげられないかな」と思ったのが始まりです。

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櫛井:え、めっちゃいい話じゃないですか…。やりたいことをどうにかしてあげたいというところからビジネスに繋がったということですよね。台湾でそういうきっかけがあったけど実際は日本でやることも出来たと思いますが、最初からアジア圏でやろうと思ったのはどういう理由なんですか?

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埴渕:働き始めたのが上海だったという時に遡るんですけど、上海で働こうと思ったのは都市が発展してると人も金も集まるからという理由なんですね。そういうところにいると、チートというか近道が出来るかなと思ったんです。中華圏というよりも上海という場所で最初の職場を選んだんです。

その後、4年くらい働くとちょっと飽きてきたなというタイミングで台湾への異動の話があってそれに乗っかった形で台湾で2年ほど働きました。当時はモバイルのアフィリエイト商材を売っていたり、中国では日本や欧米企業が中国でのデジタルマーケティング全般をやっていました。日本企業の中国進出のマーケティングなども担当させてもらったりしました。

YouTuberを支えるスタッフたちも「したい、なりたい」を叶えられる会社に


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櫛井:今はクリエイターの力を最大限にして、彼らはサポートしてもらってという相互的によくしていくのをやっていらっしゃると思うんですけど。将来的にやりたいことはYouTuberに限らないと思うんですね、今の延長線上には何かあるんですか?それとも全然違う領域で本当はこれやりたいとかあるんですか?

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埴渕:直近の3年とか5年でいうと、YouTuberとかネット上の次世代クリエイターの経済圏はもっと大きくなっていきそうなので、そこにしっかりフォーカスしていくのがベストかなと今は思ってます。ただ、会社のミッションも「次世代のしたい、なりたい、をサポートする」っていうのは、今はメインのパートナーとしてYouTuberがいるんですけど、社員にもそういうのを叶えていってほしいと考えているのでまったく違う事業も遠い将来やっていきたいなと思ってますね。

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櫛井:世界平和が最終目標だったら事業自体はわりとなんでもいいような気がしちゃいますね。

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埴渕:ただ、事業と結びつけてしまうと結局儲からなくてやめましたという話になっちゃうので、儲かったら色々できるかなとは思ってます。

今は少しずつなんですけど始めてることはあって。台湾って移民が多い国なんですね、インドネシアなどから介護人材や家事手伝いを移民として受け入れてるんです。その人達の子どもたちが成長して大きくなって課題が出てきていて、例えば低所得で教育費をかけられないとか地域によって偏りがあったりするんです。その課題に対して、地域の自治体などと提携して課外活動を一緒にやったりとか動画編集を教えたりとか、そういうのを最近はやったりしてますね。今はまだ規模的に全然なんですけど、もっと会社が大きくなったら利益の何%をそういう活動に使うとかやっていきたいなと思ってます。

専属クリエイターとしてスカウトするかどうかの分かれ目はどこに?


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櫛井:なんかもう、後光が差してるように見えてきましたけど…。ちょっと話は変わりますが、先日の第一回CAPSULE FESはいかがでしたか?3000人くらいの参加者が集まったと聞きましたが、参加してる人とか中心になってる三原さんとかとはまた違う気持ちでイベントを見ていたと思いますが。

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埴渕:そうですね、一言でパッと出てくるのは「大変だったな」というのがありますね(笑) まぁ色んなことが起きるし大変なんですけど、YouTuberたちが嬉しそうだったのはよかったですね。普段やっぱり皆こもって編集したり地味な作業が続いたりするので、会社でしっかり準備をしてそういう舞台が出来て皆が「嬉しい、よかった」って言ってくれるのは僕らとしても嬉しいですね。

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CAPSULE FESの様子


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櫛井:芸能事務所的な存在でもあると思うんですが、YouTuberやタレントとしてマネジメント契約しようと思ったり重要視しているポイントとかはありますか?

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埴渕:思いがあるか、というのが一番ですね。やっぱり、つらいんで何か思いがないと続かないんですよね。チャネルであったり、その人がタレントとして成功するかどうかは続けるってことが1つ大きいポイントなんですよね。まず続けらないとどれだけ売れる要素があっても成功しないので、要素も大事なんですけど。
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三原さんとの出会い


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櫛井:なるほど、まさに継続は力なりということですね。1つお伺いしたかったんですが、カプセルグループの中でも三原さんという存在は大きいと思います。本人も動画の中で話してましたが元々テレビ局で働いていて台湾がチャンスだと思って飛び込んだという彼なりの思いがあって台湾という場所を選んでると思うんですけど、カプセルグループとはどう繋がるんですか?

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埴渕:台湾人の友達から「日本人で頑張ってる人がいるよ」と紹介されたのがきっかけです。当時の三原さんは収益化機能がないメディアで活動していたんですが「三原さんがやりたい事を長期的に考えると、大変だと思うけどYouTubeのほうが収益の期待値も大きいし、せっかく動画編集も出来るならYouTubeがいいよ」という話をしたのが始まりですね。そんな話をしてるうちに一緒にやらないかと。

当時、まだ会社としてではなかったんですが三原さんが自分達でやってるライブを見に行って「この人はしっかり思いを持って頑張ってるな」と感じたんですね。まだ彼がサラリーマンしながら土日とか有給を使ったりして100人か200人くらいの規模感でライブをしていて、しっかり準備しててすごいなぁと思って。「もっと会社としてサポートしてあげたい、彼の思いをかなえていきたいな」と思いました。
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櫛井:なるほど、私の周りも元テレビ業界という人はぼちぼちいるんですが、彼らはすごいタフですよね。本番一発勝負にかける気合が違うというか。元ADの人とか「道で寝れます」とか言いますし、いいかどうかは別として鍛えられるってのはありますよね。

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埴渕:そうですね、ジュンちゃんも元テレビ局なんですよ。タフだし、なんというか、タフですね(笑)企画のためならわりと何でもやりますし。

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三原さん(左)と埴渕さん(右)


才能を潰さないための社内クリエイター枠という存在


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櫛井:会社が急成長しているというお話を伺いましたが、人が増えるタイミングだと色々なバックグラウンドをもった人が増えてきますよね、工夫されている点などありますか?

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埴渕:最近、日本人でも大学から台湾の学校を選ぶ人が増えてるそうで、うちでも台湾の学校を卒業した日本人の応募というのは増えてます。うちの会社だと台湾人も日本人も色々な国籍の人たちが一緒に働いてます。日本人はよく言えば真面目、悪く言うと細かすぎるところがあります。それに対して台湾人は正反対だったりするんですよね。

工夫している点でいうと、今はグループ全体での統一ルールはあるんですがある程度は例外を認めるようにしてます。いわゆる会社という1つの組織&社長室みたいな組織構造に変えていこうと思っています。ある部分は突出していて優秀だけど経費精算など一般的な社会人っぽいことが出来ない人、というのはどうしてもいるんですよね。めちゃくちゃ編集がすごいとか、カメラのセンスが抜群にいいとか、才能があるんです。そういった人達を社長室の所属にして「社内クリエイター枠」という形で、通常の社員とは違う評価軸にしたいなと。

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櫛井:いいですね!私もIT業界にいて「ものすごく優秀でかけがえのない存在だけど一般的な事務処理がまったく出来ない」みたいな人を知っています。突出したものがあればそれを伸ばすというのも大事なので、どこで評価するのかが大事なのかなと思います。

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埴渕:そうですね、一般的な考え方でいくと「どんな人でも会社に合わせてもらわないといけない」になるんですけど、そういった例外的な人にも会社が適応しないとうまくいかないし、そこがボトルネックになっちゃったりするんですよね。そうならないように組織も変えていきたいなと思ってます。

これからのカプセルグループ


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櫛井:今は拠点が5つありますけど、これから力を入れていきたいというところはあるんですか?

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埴渕:今でいうと台湾ですけど、直近でいうとマレーシアですね。マレーシアは中国語圏で華僑の人たちがいっぱいいるんです。統計でいうと1/4が中国語スピーカーらしいんですけど、体感としてはコミュニケーションではもっと使われていて、YouTuberも中国語でやってるんですね。台湾からマレーシアに行って現地のYouTuberとコラボしていたり、マレーシアのYouTuberも台湾で人気になりたいとか有名になりたいという人が増えてます。クリエイター側のニーズが社会ニーズというかビジネスチャンスでもあると思ってます。マレーシアにオフィスを作ると、彼らが行った時にサポートも出来るしいいかなと思ってます。

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櫛井:いいですね、多様な人が集う場所は組織としても懐が広くありたいということでしょうか。会社として今後やっていきたいことなど教えていただけますか?

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埴渕:会社全体としては、クリエイターの居場所を増やすことを続けていきたいですね。YouTubeなどの動画メディアには可能性がまだまだあると思っているので、現状でいうとサンエン台湾などのようなチャンネルを通じて日本の人たちにもっと台湾や海外のことを知ってもらいたいと思ってます。

また、毎年外国旅行者は増え続けていています。そういう人達にとってYouTuberというのは、いいところも悪いところも伝えてくれるので過剰な期待をもたずに現地に行けるのがいいと身近なメディアとして大事な情報源になっています。魅力的な部分やよくない部分を嘘はつかずにしっかり伝えて、こういうふうにオススメだよと正しく伝えてくれる存在になってきています。そういった、これからのメディアになっていく存在であるYouTuberたちを支えていきたいと思っています。


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櫛井:ありがとうございました!これからも楽しみにしています。

というわけで、埴渕さんにお話を伺いました。これからの時代のクリエイターを支える仕事は、私達がまだ見ぬ世界を作ることでもあり可能性が沢山ありそうです。日本の小学生が「将来の夢はYouTuberになること」と答えるくらいに大きな存在となっているYouTuberたち。きっと「YouTuberを支える人になりたい」と、カプセグループのような会社に憧れる人も増えていくんでしょうね。

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